株式会社ユーレカ

表面検査装置 『HR4000K』のご案内

このたび、株式会社ユーレカは、表面検査分野において、膜厚・膜質・マクロ検査の機能を備えた表面検査装置『HR4000K』を開発し、販売活動を開始いたしました。また、20071月からは、本装置によるサンプル測定のサービスを開始いたします。

  1. エリプソメータとは
    エリプソメータは、おもに半導体産業において研究開発、品質管理のために広く使用されている表面検査装置です。その原理は、ある方位角をもつ入射偏光がサンプルにあたった際に起こる反射光の偏光状態(楕円偏光の主軸の方位と楕円率)の変化を検出するものです。この光の変化量はサンプル表面の薄膜の膜厚・屈折率によって決まり、オングストローム(0.1nm)単位の厚みの違いや材質のごくわずかの違いも検出できます。従来型のエリプソメータはウエハー表面の直径2mm程度の点を1点ごとに測定するものでした。(1点式エリプソメータ)。 それにたいし当社のエリプソメータは、CCDを検出器に使う光学系によって、ウエハー表面を2次元的に測定します。(2次元エリプソメータ)。 この独自のコンセプトの下に、当社はこれまで2次元エリプソメータの開発・改良を進めてまいりました。

HR4000K』は、当社のこれまでの2次元エリプソメータ技術の蓄積を結集して、エリプソメータという枠を超えた装置に発展させたものです。

本装置の実現のために、

1.光源の偏光状態を一定に保つ新しい技術、2.反射光の偏光状態に依存しない顕微鏡的な測定が可能な結像技術、3.エリプソメトリイの新しいアルゴリズム を開発いたしました。この成果により、『HR4000K』はウエハー表面140万点を2ミクロンの細かさで一括測定できます (測定時間約20秒)。 すなわちこれまで直径2mmスポットでの平均的なデータしかえられなかった膜厚や屈折率の分布を、従来の100万分の1の細かさで測定することが可能となります。 それは現実的な薄膜の測定において測定精度が飛躍的に向上することを意味します。また材質を認識できるというエリプソメトリイの原理と微細観察という2つの特徴を組み合わせることによって、0.2μm以上(標準)の大きさのパーティクルや欠陥を検出することができます。 

HR4000K』は測定データから膜厚・屈折率の2次元的な計算を行い、その結果を表示し、さらにサンプル表面の2次元的解析結果を画像表示します。 通常の光学顕微鏡がサンプルの幾何学的パターンのみを観察するのに対し、『HR4000K』は幾何学的観察にとどまらず、同時にサンプルの材質や厚みも定量的に測定して膜の内部に存在する材質のパターンを観測できる新しい顕微鏡ということができます。

こうして『HR4000K』は、エリプソメトリイと欠陥検出の手法を1つのサンプルに対し同時に適用でき、これまで分離することができなかった測定要因(異物か欠陥か膜質異常か)を明確化し、ゴミ、傷、反りなどの幾何学的特徴と膜厚・膜質変動などの物理的特徴とをそれぞれ個別に同時に検出することを可能としました。

HR4000K』は、半導体プロセスのあらゆるステージにおける、膜の特性の高精度な追跡と管理を実現する、革新的な装置です。

現在、一般的な半導体プロセスにおいては、欠陥検査装置、パーティクル・カウンター、マクロ検査装置、膜厚検査装置といった複数の検査装置が用いられています。半導体表面の総合的な検査には、これらの装置が個別的に備えている検査機能が必要とされているためです。しかし、このように機能が分散され、複数の装置が必要とされる現状にあっては、半導体検査にかかわるコストは膨らみ、企業にとって大きな負担となります。

HR4000K』はこれらの装置の機能をすべて備えた統合型検査装置で、現在複数の装置により行われている表面検査を、たった一台で一括して行うことができる革新的な装置です。本装置は、クリーンルームの省スペース化や検査時間の短縮化などを実現するものであり、半導体検査にかかわる初期投資から維持費人件費にいたるまで、大幅なコストダウンを可能とします。

HR4000K』は、半導体製造関連装置が全体として目指すべき下記の社会経済的効果に寄与すると考えられます。

  1. 歩留り向上による省資源と工場の電力削減。
  2. 半導体チップの高集積化とコストダウン
  3. 新デバイスの垂直立ち上げ
  4. AとBによる迅速な投資回収と利益確保

   将来性

HR4000K』は、従来のエリプソメータの精度性能を飛躍的に向上させるとともに、その枠を超えて半導体表面検査方式を革新的に変革する装置です。半導体表面検査分野において、これまで当然とされてきた複数装置による検査方式は、今後『HR4000K』一台による検査方式へと移行され、本装置による統合型検査方式が、半導体表面検査の新たなスタンダードとなっていくものと確信しております。